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【Topic_速報】2024年のノーベル物理学賞はジェフリー・ヒントン

新しい知見としてのAI

受賞の前から今年度のノーベル物理学賞では「AI」関連が
取りあげられるのではないか、と噂されていました。
現代ではAIが大きな関心となっており、他分野での
応用技術が商用化されています。

社会や経済を大きく変えつつあります。

そうした中で2024年度のノーベル物理学賞は
ジェフリー・ヒントンとジョン・ホップフィールドが
AI関係で受賞しました。ニューラルネットワーク
という新しい知見が世界を変えているのです。

ジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton_1947年12月6日 -)

ジェフリー・ヒントンは、ディープラーニング分野のパイオニアであり、特に「バック・プロパゲーション・アルゴリズム」の提唱で知られています。このアルゴリズムは、ニューラルネットワークの学習を効率化するために重要な役割を果たし、現代のAI技術の発展に大きく貢献しました。

バロー、ニュートン、マクスウェル、ケルビン卿、ラザフォード、ボーア、チャドウィック、レイリー卿、JJトムソン、ディラック、ホーキンスがここで議論しました。そしてヒントンも。

 

ケンブリッジで心理学を専攻していましたが、
先進的な研究である人工知能のモデル化をカナダで進めます。
そうした中で
「脳の構造が何かを学ぶのに適しているのは明らかだ」
と感じて、信念ともいえる先見性で研究を続けました。
【本記事中での太字部は2024年10月9日付の
日経新聞からの引用です(以下同様)】


計算機の性能向上という背景もありますが、
ニューラルネットワークという構造がAIの進化に
大きな役割を果たしたと言えます。ヒントンは
Googleで働きつつ、トロント大学で研究を続け、
ディープラーニングの商用化にも貢献しました。
また、AIのリスクについても積極的に発言し、
倫理的な側面にも注力しています。こだわる所はこだわり、
持論を貫き「自分は頑固だからね」と語る研究者です。

 

主な業績

バックプロパゲーションアルゴリズムの開発

ディープラーニングの応用によるAIの飛躍的進展

AIの倫理や安全性に関する問題提起

ジョン・ホップフィールド(John Hopfield)

ジョン・ホップフィールドは「ホップフィールド・ネットワーク」として知られるニューラルネットワークの一種を提唱した物理学者です。このモデルは、人間の脳にインスパイアされたコンピュータシステムを構築するための基礎を築き、パターン認識やデータの記憶と復元に使用される理論的フレームワークを提供しました。彼の研究は、ニューラルネットワークの理解を深めるとともに、物理学と計算科学の橋渡しとなっています。

主な業績

ホップフィールド・ネットワークの提唱

神経科学とコンピュータ・サイエンスの融合研究

ニューラル・ネットワークの理論的基礎の確立

この二人の研究はAIの進展において非常に重要であり、彼らの知見は現在の技術に深い影響を与え続けています。

ジェフリー・ヒントンの新規性

特に私はジェフリー・ヒントンに注目していて彼の唱える  Y = A  /(2040-X)という公式を記事化してます。dirac226.com での2024年4月の記載でした。ヒントン氏の弟子の議論を記載した記事です。AIの活用により「人間社会の生産性が2040年頃には発散する」という内容です。ジェフリー・ヒントンのもともとの専門は実験心理学的なアプローチです。また、AIが物理学かな?と思う人も居るかもしれませんが、私の中では全くつながる世界です。

なにより、ジェフリー・ヒントンはAIの基本的な考え方として人間の脳活動を模倣した「ニューラル・ネットワーク」の仕組みを深化させました。

人間の脳の機能を模倣した人工知能の中核的な技術です。以下に、ニューラルネットワークの具体的な仕組みを解説します。

ニューラルネットワークとは?

ニューラルネットワークは、生物の神経系、特に脳のニューロンの働きをモデル化したもので、AIがデータを学習し、複雑なパターンを認識・生成するための基本的な構造です。個々の「ニューロン」に相当するノードが層状に配置され、これらが互いに連結されて信号(データ)を伝達します。信号は重み付けされて処理され、学習プロセスの中でこの重みが調整されていきます。

ニューラルネットワークの構造

ニューラルネットワークは、主に3つの層で構成されています。

1. 入力層 (Input Layer)

入力層は、ネットワークに供給されるデータを受け取る部分です。各ノード(ニューロン)は一つの入力データを受け取り、それを次の層に送ります。例えば、画像処理の場合、各ピクセルの値が入力データとなります。

2. 隠れ層 (Hidden Layer)

入力層からの信号は隠れ層に伝達され、複雑な計算処理が行われます。隠れ層が多層に渡る場合、これを「ディープラーニング」と呼びます。この層では、特徴抽出やパターン認識などの高度な処理が行われ、モデルの精度を向上させます。隠れ層が多いほど、モデルはより複雑で高度なタスクに対応できるようになります。

3. 出力層 (Output Layer)

最後に、処理された信号が出力層に送られ、予測結果や分類結果として出力されます。例えば、画像が「犬」か「猫」かを分類する場合、出力層は「犬」または「猫」という結果を返します。

ニューラルネットワークの学習方法

ニューラルネットワークは、「バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)」を用いて学習を行います。これは、出力と正解の誤差を計算し、その誤差を各層に逆方向に伝播させることで、各ノード間の「重み」を調整するプロセスです。この方法により、モデルは徐々に正確な出力を生成する能力を高めます。

活用例

ニューラルネットワークはさまざまな分野で応用されています。以下は代表的な活用例です。

  • 画像認識:写真やビデオの中から物体や顔を認識する技術。Googleの画像検索やスマートフォンの顔認識機能に利用されています。
  • 音声認識:音声データをテキストに変換し、会話内容を解析する技術。SiriやGoogleアシスタントなどの音声アシスタントに応用されています。
  • 自然言語処理 (NLP):言語データを解析し、翻訳や文章生成、感情分析などを行う技術。翻訳サービスやチャットボットに利用されています。

ジェフリー・ヒントンの研究が深化させたニューラルネットワークは、AI技術の中でも特に重要な要素であり、現代の技術社会に大きな影響を与え続けています。

ニューラルネットワークの優位性

ヒントンの作り上げた「アレックスネット」は2012年に開かれた画像認識関連の大会で高得点をあげました。また同氏が率いるトロント大学のチームはゲーム関係の大会でも成果を収めています。「ヒントン氏が米エヌピディアの画像処理半導体(GPU)をつかった」実績が同半導体の評判を大きく広げました。2024年10月現在でエヌピディア社は過去最大の企業価値を持つ半導体メーカーとして君臨しています。(時価総額3兆ドル)

ジェフリー・ヒントン氏の功績はAI分野において非常に重要であり特に彼が提唱・開発した技術や成果は、画像認識やディープラーニングの飛躍的な進展をもたらしました。以下に、彼の代表的な実績を具体的に解説します。

アレックスネット (AlexNet) の成功

2012年、ジェフリー・ヒントン氏とその弟子であるアレックス・クリージェフスキー (Alex Krizhevsky) が開発した「アレックスネット」は、ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)という画像認識の世界大会で圧倒的な成功を収めました。アレックスネットは従来のモデルを遥かに凌駕し、ディープラーニングの可能性を世界に示しました。

主な特徴と成果

  • 深層ニューラルネットワークの使用:アレックス・ネットは、8層に渡る深層ニューラルネットワークを用いて画像を処理しました。
  • エラー率の大幅な削減:アレックスネットは、他のチームが達成したエラー率を大幅に下回り、画像認識の分野で革新をもたらしました。
  • ディープラーニングの普及:この成功により、ディープラーニングが多くのAIプロジェクトで主流となり、その後の技術発展に貢献しました。

トロント大学のゲーム大会での成果

ヒントン氏が進化させた原理は、ゲームにおけるAIの活用でも優れた成果を出しました。特に、強化学習やニューラルネットワークの技術を駆使し、ゲームのプレイにおいて人間以上のパフォーマンスを発揮することに成功しました。

主な成果

  • 強化学習の応用:AIエージェントがゲーム内での行動を学習し、最適な行動を取るための強化学習アルゴリズムを発展させました。
  • AIのパフォーマンス向上:人間のプレイヤーを超えるAIを開発し、ゲームやシミュレーションの分野でもAIが強力なツールとなることを証明しました。

    • AIが人間を超えるプレイ:強化学習を用いたAIを開発し、ゲームにおいて最適なプレイを学習させました。これにより、AIが人間のプレイヤーよりも効率よくゲームを進められることが証明されました。
    • ゲームAIの進化:特に、戦略ゲームやリアルタイムのゲームにおいてAIが優れた成果を収め、AIの応用範囲が広がりました。これにより、ゲーム業界でもAIが注目され、エンターテインメント分野での利用が進んでいます。

    この実績により、ゲームやシミュレーション分野でAIの活用が急速に進み、技術の進化だけでなく、商業的な成功にもつながりました。

NVIDIAのGPUを用いた功績

ヒントン氏は、AI研究において米エヌビディア (NVIDIA) 社のGPU(画像処理半導体)を使用することで、ディープラーニングの計算効率を劇的に向上させました。これにより、従来のCPUでは処理が困難だった大量のデータを短時間で処理できるようになり、AI技術の急速な発展を支えました。

主な成果

  • 計算速度の飛躍的な向上:GPUの並列処理能力を活用し、ディープラーニングの訓練時間が大幅に短縮されました。
  • NVIDIAの評判を高める:ヒントン氏の成功により、NVIDIAのGPUはAI研究の中核ツールとしての地位を確立し、2024年時点で同社は時価総額3兆ドルに達するなど、過去最大の企業価値を持つ半導体メーカーとなりました。

2024年10月現在の影響

ヒントン氏のこれらの実績は、AI研究と商用化の両面で大きな影響を与え続けています。彼が発展させた技術や使用したツール(特にNVIDIAのGPU)は、現在でもAIの進化を支える基盤として機能しており、AI産業全体の成長を促進しています。

今後の物理学とAI

物理学における知識の追求は、AIの登場で新しい段階に入ったという印象を受けます。第一回のレントゲンの受賞の時代からはより実験と結びついた実証的な現象理解が次々と進んでいきました。量子力学、素粒子物理学、物性物理学といった新世界で人類は知見を広めてきました。そうした現象理解はこれからも続きます。同時に、現代に置けれ宇革命的な技術である「AI」が急激な変化をもたらして、恩恵を与えていることも確かです。その意味で2024年の受賞は時代を反映していると言えます。「二人が貢献したAIの技術革新と発展は、他の物理学の大きな推進力となっている」とノーベル賞の選考委員会は称えています。具体的には以下の事例を評価してます。

具体的に解説します。

ヒッグス粒子の発見

ヒッグス粒子の発見は、2012年にCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使用して実現しました。この粒子は、1964年にピーター・ヒッグスらによって予測されたもので、物質の質量の起源を説明する重要な要素です。

  • 役割と意義:ヒッグス粒子は「ヒッグス場」という見えないフィールドと関係しており、これが他の素粒子に質量を与える役割を果たします。質量の存在理由を解き明かすことで、標準模型と呼ばれる物理学の基本理論を補完しました。
  • 発見の重要性:この発見により、物理学者たちは物質の基本的な性質を理解するための手掛かりを得、宇宙の成り立ちに関するさらなる研究が進展しました。

重力波の検出

2015年、アメリカのLIGO(レーザー干渉計重力波観測装置)は、重力波の直接検出に成功しました。重力波は、アインシュタインの一般相対性理論で予言された時空の歪みを示す波で、ブラックホールや中性子星が衝突したときに発生します。

  • 役割と意義:重力波は、宇宙の深遠な出来事を探知する新しい手段を提供しました。これまで光や電磁波では捉えられなかった現象を観測できるようになり、宇宙の起源やブラックホールの性質に関する新たな洞察が得られるようになりました。
  • 発見の重要性:重力波の検出は、天文学や宇宙物理学に革命をもたらし、これまで理解されていなかった天体現象の解明が進むきっかけとなりました。

ブラックホール観測

2019年、Event Horizon Telescope(EHT)によって史上初めてブラックホールの「写真」が撮影されました。この画像は、地球サイズの望遠鏡を使ってブラックホールの影を直接観測したものです。

  • 役割と意義:ブラックホールは、光さえも脱出できない強い重力を持つ天体で、その存在は理論的に予測されていましたが、実際に観測されたのは初めてです。これにより、ブラックホールが実在し、一般相対性理論が正しいことが改めて確認されました。
  • 発見の重要性:この観測は、宇宙の極限状態に関する理解を深め、ブラックホールが周囲の物質やエネルギーとどのように相互作用するかを知る手がかりを提供しました。

これらの成果は、AI技術の進歩によるデータ解析やシミュレーション技術の向上があったからこそ可能になった部分も大きく、物理学とAIの相互作用が未来の科学研究を大きく推進する役割を果たしています。

 

4o

ノーベル賞を創設したアルフレッド・ノーベルの当初の理念(遺言)
を最後に残します。「(ノーベル賞は)
人類にもっとも大きく貢献した科学者に贈る。

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2024/10/08_初版投稿
2024/10/09‗改訂投稿

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